3年ほど前、京都市の緒方久和子さん(94)のもとに、女学校の同級生だった山田文子さんから封筒が届いた。中には、小さな部品が二つ。直径約12ミリのボタン状のものと、つまみのようなものだった。「人間魚雷の部品 呉で動員中に水雷部で私が作ったものです」とメモが入っていた。
2人は長く文通を続けてきた。しかし、2022年に山田さんが他界。「どうして持ち出せたのか。なぜ送ってきてくれたのか。それを聞けないままになってしまいました」
2人は1944年秋、旧島根県立浜田高等女学校4年生で広島の旧海軍呉工廠(こうしょう)に学徒勤労動員され、「水雷部」に配属された。緒方さんは動員の日々を声欄の「語りつぐ戦争」に投稿。「回天の部品 必死につくった私」として6月17日に掲載された。
呉へ向かう日、緒方さんは浜…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル